こんにちは。okometsubuです。
RPARというETFがあります。リスクパリティポートフォリオといって、どのような状況でもリスクが少なく運用できる素晴らしいポートフォリオです。但しリターンは少ないという商品となっています。以下過去記事となります。
で、そのリスクが非常に少ないこのポートフォリオに対してレバレッジを掛けたらどうなるか、と言うのを今回試してみたいと思います。
一応、上記の記事でも検証しているのですが、SPXLの開始日がリーマンショック以降の非常に優れた時期しかないため殆ど意味がない結果と思っています。
というわけで、疑似データではありますが、リーマンショック時にSPXLがあったらどうなったかを検証したいと思います。疑似データは以下過去記事となります。金利は考慮していませんが、2008年前後の金利であればそこまで大きな影響はないと思いますので、近しい動きをチェックできるとは思っています。
ということで、今回採用するポートフォリオはこちら。
今回用の疑似RPARレバレッジポートフォリオ
21% IVV
29% TLT
29% TIP(インフレ連動債)
10.5% GSG(コモディティ)
10.5% GLD(金)
今回用の1.5倍レバレッジポートフォリオ
10% SPXL(S&P500の3倍レバレッジ)
15% TMF(長期債)
45% TIP(インフレ連動債)
15% GSG(コモディティ)
15% GLD(金)
本当は先進国株式や新興国用を混ぜるべきですが、EDVしかレバレッジ商品を用意できない点と、中途半端に分散すると手数料が割高になるためSPXLだけにします。
正直、日本から米国ETFを買うのは個人的に好きじゃないです。米国本国であれば基本手数料が無料だそうな(※風の噂レベル)
であれば、海外の投資方法がそのまま日本で使えるとも思えないですし、今回のような「オールウェザー」型の利益が少ない投資方法の場合、手数料はバカにならないぐらい大きくなるはずです。ドル転コストと「売却時」にも手数料がかかる点を忘れてはいけません。売却時を忘れる投資家がたまに見られるのでそこは懸念点ですね。
これに対する解決策は「投資信託」に投資することです。売買手数料無しで少額でも投資でき、かつ、「配当金」を課税されることなく、かつ、余すところなく再投資してくれるのは非常に優れたメリットです。
が、今の所投資信託でこのRPARを再現できなさそうなので若干諦めてます。
話が脱線しました。
というわけで、早速見て見ましょうか。
簡単な条件
- 年1回のリバランスとします。※Portfolio Visualizerのデフォルトが確か年1回
- 売買手数料・税金・配当金は考慮しません。
- リバランス売買で端数は発生しないものとし、キッチリ割合全額でリバランスできるものとします
- 1.5倍レバレッジと等倍のRPARを比較します。IVVも追加で入れます。
- GSGをGLDに置きなおしたものもチェックします
米国株の欠点である端数のリバランスも考慮無しとしています。投資信託ならこの点気にしなくていいので楽なのですが、代替銘柄がないので米国株ETFでやります。
年1回リバランスは普通に手数料の関係と、そう高頻度にリバランスしても大して差はないと思っているためです。試しにPortfolio Visualizerで試してみてください。大きな差は生まれないはずです。
3倍レバレッジに対してのリバランスなら安定性を取るなら多めのリバランスはアリですが、今回のような安全投資先としては多くは必要ないと言うのが私の持論です。それより日本人として投資する場合は手数料の方が圧倒的に悪だと思います。ここ、日本からと米国からの違いは注意した方が良いと勝手に思ってます。
補足として、Portfolio Visualizerの値は月ベースのグラフで今回のグラフは日別なので大きく動く部分の差異が見られると思いますが、概ね一緒の動きを確認しています。
また、配当金再投資無しなので、Portfolio Visualizerで確認するときは意図的に「Display Income」を「Yes」にしてから「Reinvest Dividends」を「No」にすることで再投資無しのグラフを表示できます。これ、「Display Income」を「No」にするだけじゃダメなので注意が必要です。
ということで、早速比較を始めてみましょう!
リーマンショック前から実施
2006-07-31~2020-06-23までを見ます。
最終結果
- 1.5倍RPAR:+95.9%
- 等倍RPAR:+61.8%
- IVV:+144.6%
リーマンショック高値から底値の下落率
- 1.5倍RPAR:-26.7%
- 等倍RPAR:-19.3%
- IVV:-56.5%
リーマンショック底から復活までの時間
- 1.5倍RPAR:2008-07-14~2010-09-21(※約2年)
- 等倍RPAR:2008-07-14~2011-02-28(※約2.5年)
- IVV:2009-03-09~2013-03-11(※約4年)
全方位に強いポートフォリオと言っても、大きな暴落の前にはある程度大きく下落するものです。但し、復活は当然と言えばそうですが、株式よりも圧倒的に早いです。
そしてちょっと予想外な結果ですが、1.5倍RPARが最も早く底から高値へ復活しました。まぁ、疑似データですので多少の前後はあると思います。ただ、下落率もIVV単体と比べたら大分下落率が抑えられているとパッと見でも分かります。
今回の検証時期はGSGが開始された辺りからスタートしたためここからとしましたが、リーマンショック直後からやったら結構食らう感じに見えてしまうと思います。軽く見た目だけ見て見ますか。
以下は疑似RPARの暴落前直近高値から見ます
2008-05-21からの結果
疑似RPARの直近高値の最悪時期で投資を開始してもこの程度で済みます。
これぐらいなら1.5倍ポートフォリオでいいんじゃないかなと思えてきました。今から2022年までは低金利をFRBがサポートしているらしいので、金利上昇するまで普通に1.5倍ポートフォリオで回して下落耐性を高めてもいいんじゃないかなと思った次第。
結局、レバレッジを効かせると暴落の幅は増えますが、その「暴落発生日」までの運用益は侮れないという事です。現にコロナショックで大きく下げて等倍RPARに近しい所まで暴落していますがそれ以下ではありません。そしてその分リバウンドは大きく上回るので当然、復活はレバレッジ側の方が早くなるという事です。
さて、ここからは番外編で軽くみますが、もし「GSG」を全部「GLD」、つまり商品を全て「金」に統一したらどうなったかを見ます。レバ側も等倍側も全部「GSG」を外したものを入れます。
リーマンショック前から実施(GSG無し編)
2006-07-31~2020-06-23までを見ます。
軽く見るので結果だけですが、「商品」を「金」に統一しただけで圧倒的なパフォーマンスを得られました。ヤバイですね。最終的に1.5倍レバとほぼ同じぐらいのパフォーマンスを得られています。
「商品」はハイパーインフレ時用に持っておくことが推奨されていますが、「金」もハイパーインフレ時代でも強いとされています。であれば、ハイパーインフレ時だけでなく、通常の投資期間においても強い「金」でいいんじゃないかなと思ってしまってます。
そもそも一般人が疑似的にRPARやオールウェザーポートフォリオを作る際に使う「GSG」は経費率が0.75%と非常に高いです。この点、金であれば最近だとGLDMという経費率0.18%の商品があります。一般層はこれを採用するだけでもパフォーマンスが向上しますし、十分じゃないかなと思ってしまった次第です。
そして、今回のようなリスクが非常に少ないポートフォリオはレバレッジを掛けることが基本なんだそうです。以下東京の耳鼻科医バムさんのブログより引用させて頂きます。
レイ・ダリオのオール・ウェザー戦略もレバレッジ投資!!リスク許容度を高めるにはシステマティックリスクもコントロールしよう。 : 東京の耳鼻科医バムが経済的自由についてユルーく考える
http://tokyojibika.blog.jp/archives/21774467.html
オール・ウェザー戦略が有名になった本アンソニー・ロビンスの「世界のエリート投資家は何を考えているのか」P330を読んでください。「トニー、そんなに単純ではない。オール・ウェザー戦略では非常に洗練された投資商品を使ったり、資金を借りて投資するレバレッジ手法も使ったりしているからだ」そうです。
ということで、私は1.5倍レバレッジの「RPAR」を採用してしまいそうです。「生活資金」等の余裕資金ではありますが、さすがに全部を全部投資はしません。日本円をある程度持っていないと売却時間やドル転手続き等で人生が終了するかもしれません。ということで、ある程度「日本円」を持つリスク分として、レバレッジを掛けるのです。
100年に1度と言われたリーマンショックでも2年で復活するのです。将来もそうなる保証はありませんが、十分なリスク分散じゃないでしょうか。怖いのは「世界恐慌」だけ。データが無いので検証できないのが怖いです。
とはいえ、「金」は世界恐慌時も有効な投資先であったようなので、金やインフレ連動債を多く持っているこの「RPAR」であれば何とか耐えてくれることを期待しています。そしてレバレッジも1.5倍程度なら、まぁ許容範囲とします。右肩上がり率の方の期間が多いことに期待します。
というか、この10年でみたらIVVより強いですね・・・。正直期待したくなります。恐らく10月になったらガッツリ仕込むことでしょう。為替リスクはありますが、今円高ですし、そこまで円高が続いてくれることに期待します。
後、悩ましいのは「SPXL」のままで行くのか、「EDC」を混ぜるかどうかです。EDCは新興国の値動き3倍レバレッジ商品です。ちなみに先進国株式の3倍レバはざっとSBI証券で見ましたがありませんでした。
新興国。中国が伸びるかどうかです。分からなければ買えばいいのですが、商品を分けることで手数料が割り増しする可能性が高まることと、中国に投資してリスク分散になるのかどうかと言う点、先進国株式が含まれていないと言う点を踏まえて、だったらもうSPXLだけでも良い気がしなくもないです。ここはもうちょっと考えます。
というわけで、今回はここまでと致します。