こんにちは。okometsubuです。
本記事は続き物です。ノーセルバリュー平均法を用いてSPXLで資産運用した場合を記事にしています。以下過去記事。
ノーセルバリュー平均法はザックリいうと、あらかじめ年利を決めておいて、その値を超えたら何もしない、下回ったらその年利の金額になるまで追加投資する投資方法です。
この投資方法の欠点は、追加投資した後にも更なる下落がずっと続いたら追加投資資金が早期に枯渇するため、かえって高値で買ってしまうという問題があります。
前回の記事では無限ナンピンOKとしたので余裕で輝かしい未来が見れましたが、追加投資額は数千万円に上ることもあり、中々勇気がいる投資方法となりました。
というわけで、現実的ではないので、今回は追加投資額上限と1回辺りの投資額上限を定めて再度チャレンジしてみようという回になります。
では条件とか色々書きます。適当に流してくれていいです。
- 今回のシミュレーション条件
- いつもお馴染みのメンバー(強い方)
- ベトナム戦争付近の30年
- ベトナム戦争付近の20年
- ベトナム戦争付近の10年
- 第一次オイルショックからの30年間
- 第一次オイルショックからの20年間
- 第一次オイルショックからの10年間
- ITバブル崩壊から現在まで
- 世界恐慌から30年間
- 世界恐慌から20年間
今回のシミュレーション条件
- 面倒なので1ドル100円換算とします
- 初期投資として6万ドル投資したものとします
- 運用期間はとりあえず30年分は見ます
- 年利目標は15%とします
- 追加投資上限を6万ドルとします。初期投資額と合せて12万ドルまで自身の懐から出ることになります
- 年1回の株価判定を行い、その時に年利より上下していた分を追加投資して、下落してなかったら追加しない
- 追加投資する場合、1回辺りの上限を1万ドルとします。つまり、最短で6年必要となります。
- 追加投資額は疑似SPXLに余すことなく購入できるものとする
初期投資額と追加投資額の上限を同じ6万ドルにしてみました。後は比率を自分好みにして確認できると思います。なんで6万ドルかというと、6万ドルを20年運用、15%年利で1億円になるからです。(※前回記事参照)
追加投資額も上限を抑えたのは、さらなる下落で絶望しないためです。ただ、年利15%ということで、数年経つとその数値も増えていきますので、結果的に高値で買うことが多くなる点にご注意下さい。逆に言えば、20年の運用で年利15%を下回る機会が少なければいいのです。アメリカの将来に期待しましょう。
ということで、いつもの暴落メンバーに登場してもらいましょう。
いつもお馴染みのメンバー(強い方)
それじゃ早速始めましょう。
ベトナム戦争付近の30年
1968-11-29から1998-11-28の30年間を見てみます。
30年最終結果(最終積立額の何倍か)
- SPXL:6092.66万ドル
- SPXL:507.72倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
- ドルコスト平均法倍率:263.0倍
過去記事からドルコスト平均法だった場合の倍率も追記しました。このケースの場合はノーセルバリュー平均法が圧倒的に上ですね。
余裕で上限の追加投資額に引っかかりました。そして30年だとやっぱりよく分かりませんね。とりあえず60億円ですね。うらやましいですね。では20年見ましょう。
ベトナム戦争付近の20年
1968-11-29から1988-11-28の20年間を見てみます。
20年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:104.29万ドル
- SPXL倍率:8.69倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
- ドルコスト平均法倍率:6.61倍
これもドルコスト平均法より成績が優秀です。
追加投資はかなり早期に終わっているようですね。そして20年間の運用で1億円達成です。その手前の1986-02-28で1億円達成しているので、実質18年で達成となります。やはり追加投資額と追加タイミングを抑えることで達成時間は延長されてしまいます。これはもう仕方ない。ともあれ、20年想定のものが18年で達成なのでまずまずじゃないでしょうか。所謂、想定通りです。逆に計画通りすぎて面白みにかけるかな!?
それが投資というものなので、面白く無ければ無い程、良い投資なのかもしれませんね。3倍レバレッジの時点で恐怖しかないですけどね!
もうちょっと詳しく見て見ましょうか。10年ものです。
ベトナム戦争付近の10年
1968-11-29から1978-11-28の10年間を見てみます。
10年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:10.08万ドル
- SPXL倍率:0.84倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
ちなみにこれが前回の図。投資額が無限なので超良い感じになってます。前回の下の図では黄色い線で年利の緑線になるまで購入しています。上の図では1万ドルなので動きが弱いのです。
ということで、ちびちび追加投資すると非常に残念な結果になりました。途中で追加投資額も尽きてしまい、微妙に株価は復活していません。無限ナンピン形式じゃないと、大きく下がった所で買えませんし、さらに言えば、想定の年利(緑線)は無慈悲にガンガン伸びていきます。つまり、最初の下落辺りでガッツリナンピンしなければしないほど、想定の年利との乖離が大きくなるため、常に平均年利以下の状態が続きやすくなる、ということです。
これを解決するには時間をかける、お金を下落率に対して比重を高めに追加する等が挙げられます。ともあれ、大体のケースにおいて追加投資が必要な状況が続いてしまいました。やはりノーセルバリュー法は資金力が潤沢にある人向けの投資方法、もしくはずっと平均年利を追い続ける度量がある人向けになる気がします。後、無限ナンピンが出来るほどの精神力。
長期で続ければ続けるほど、高値で買い付ける必要がでてくるので、やはり早い段階で多めにナンピンしたい、つまり1回の追加投資額の上限をもう少し上げたいという欲求は出てしまいます。正直難しいです。上級者向け投資法ですねこれは・・・。
ノーセルを解除したバリュー平均法でも最初が暴落時期だったら追加資金が必要で、どのぐらい追加が必要かが暴落具合で変ってくるのも辛いです。でも大規模な暴落じゃなきゃリターンは良い。難しい。
まま、次の暴落をみてみましょう。
第一次オイルショックからの30年間
1973-01-11~2003-01-10の30年間を見ます。
30年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:1756.13万ドル
- SPXL倍率:146.34倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
- ドルコスト平均法倍率:60.39倍
これもドルコスト平均法の倍率より上です。こう見るとノーセルバリュー平均法は普通に強いですね。世界恐慌以外は6年もあれば暴落からある程度復活しますので、基本的に6年間を1万ドル投資を早期にやるのは理に適っているという事です。
上記の30年だとパッと見よく分かりませんね。ともあれ結果は良好過ぎるほど良好。大暴落後なのに17億円。いかに年月をかけると3倍レバレッジが最強なのかがよく分かります。
では20年後見ましょう。
第一次オイルショックからの20年間
1973-01-11~1993-01-10の30年間を見ます。
20年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:348.46万ドル
- SPXL倍率:29.04倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
- ドルコスト平均法倍率:6.61倍
ここもドルコスト平均法より上。あれ、上限固定してノーセルでもバリュー平均法やった方が良い感じか?今なら私、ある程度一括投資済みだから切り替えられなくもないぞ?
と言っても、暴落時期から始めたわけだからそこで多めに投資してるんだから無理もないか。5年前とか10年前スタートならまた結果は変わると思う。とりあえずもうちょっと先の暴落も見て見ましょうか。
さて、結果は最高ですね。3.5億円です。追加投資は余裕で全額投資済み。ノーセルですし、そもそも暴落が開始してからの情報ですからね。これ。世界恐慌さえ来ないことを信じるのであれば、6年かけて早期に多めに追加投資するのは非常に良さそうです。恐怖心は残ります。それを埋めるのがドルコスト平均法と解釈しました。
ではいつ1億になったかというと、1986-03-11ですので、13年で億プレイヤーです!
目標より7年も早い億プレイヤーの達成です!これがノーセルの強い所だと思います。つまり、途中であえて高値で売らずに更なる右肩上がりを期待して目標額まで強引に推し進めると到達できる境地です。但し下落時の追加投資資金が枯渇して終わる可能性もはらむ諸刃の剣というわけですね。その強引さで2.5億まで伸びてしまったようです。上がる時は一気に上がるもんだ。
さて、追加投資タイミングが20年ではよく分からないので10年物も見ますか。
第一次オイルショックからの10年間
1973-01-11~1983-01-10の30年間を見ます。
10年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:28.52万ドル
- SPXL倍率:2.38倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
分かりやすかったので積立額と総額も入れてみた。緑色の線以下の場合は年1回追加投資しているのが分かると思います。
基本的にすべての年でナンピン購入を実施して毎年100万円追加している感じです。というか、やはり追加投資額が低いとどうしても想定年利より下回るケースが多発するため結局高値で購入する機会が増え続けそうです。こうなると、意図して上限固定すると余計な出費が逆に嵩む可能性があります。
とはいえ、初期の暴落時点で大幅に現金を投入すると資金があっという間に枯渇するという問題を常にはらんでいる点を考慮しなくてはならず、バランスが難しい。さっきからおんなじことばっか言ってんなぁ!!!
ともあれ、高くなったら買う必要が無いのでまぁまぁ、そこそこは安定してると言えなくもない。最短投資でも6年分散で投資してるわけですし。
じゃ、次の暴落いきまっしょい。
ITバブル崩壊から現在まで
2000-08-31~2020-05-21の約20年間を見ます。
20年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:34.8万ドル
- SPXL倍率:2.90倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
- ドルコスト平均法倍率:4.31倍
今回はドルコスト平均法が勝利しました!長期の暴落が発生しており、ITバブル崩壊に加えてリーマンショックも影響しているため早期に高値で買いこんだことがバリュー平均法の敗因だったと言えます。
やはり検証前から思っていた通りの結果です。低迷期が長ければ長い程、バリュー平均法は不利であり、ドルコスト平均法は通常時はバリュー平均法に負けますが、「世界恐慌」や今回の暴落等の低迷期を食らうことを想定するなら心の安寧も得られる最適な投資方法と言えそうです。
今から10年前だったらノーセルバリュー平均法最強!って言ってもいいかもしれませんが、今のコロナだの米国VS中国だの、世界恐慌レベルに何かがおかしくなってるだの、ちょっと「世界恐慌」を無視しすぎるのは危険だと感じています。でもお金持ちにはなりたい。と言う場合はやはり無理せずドルコスト平均法でいいかなと思った次第。3倍レバレッジのパワーもあるしね。
ということで、平時になったらバリュー平均法、ちょっと世の中危ないな?ってなったらドルコスト平均法から始めれば納得いく形で進められるかなと思った次第。通常の人はドルコストでいいんじゃないかな。そして通常の暴落、たとえリーマンショックだったとしてもその程度であれば今回の「ノーセルバリュー平均法」は十分あり、というか最高にアリです。
とはいえ結局、20年目~30年目までくるとバリュー平均法もドルコスト平均法もすべからく皆苦しくなるのです。投資生活30年目はもう大体が終わりの頃だと思います。その頃から暴落が始まったらどのような投資方法でも皆一様にお陀仏!
話が脱線しました。
今回はそういった暴落時期であり、平均年利以下のため1億円に到達できませんでした。残念ですが、入金力をもっと増やす必要があったということです。コロナショック前の高値でも7000万円弱がギリギリです。
さて、いよいよ世界が終わる日が近づいてまいりました。世界の週末は近い!!!
世界恐慌から30年間
1929-09-03~1959-09-02の30年間を見ます
30年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:125.80万ドル
- SPXL倍率:10.48倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
- ドルコスト平均法倍率:37.77倍
何とか30年あれば1億円を達成できたようです。これは嬉しいですね。世界恐慌は3~4年で底値を目指しているため、高値からの積立がキッチリできればケアもできる、ということです。命は守れました。が、早期退職は絶望的です。
対してドルコスト平均法の結果が良いです。これは先ほど述べた通り、長期間の低迷期が続けば続くほど、ドルコスト平均法は輝くということです。
では20年の結果を観ましょう。
世界恐慌から20年間
1929-09-03~1949-09-02の30年間を見ます
20年最終結果(総額の何倍か)
- SPXL:2.83万ドル
- SPXL倍率:0.236倍
- 総額:12万ドル
- 追加投資額:6万ドル
- ドルコスト平均法倍率:1.17倍
やはりドルコスト平均法は強いです。この時ドルコスト平均法のS&P500は1.3倍でしたので言うほど大差はない状態で、かつ、元本保証されているのは非常に強い。今の世の中で見るのであればドルコスト平均法は心の支えになるということです。でもまぁ、世界恐慌までは行かないって皆言い始めてるんだよなぁ。だったら普段成績のいいノーセルバリュー平均法で・・・。っていう発想が頭をよぎるのですが、そもそも最近出回っている情報が罠っぽいんだよなぁ。大変だねぇ。本当に。
というわけで、20年で1億とか夢見てんじゃないわよって話でした。
因みに、今回ノーセルバリュー平均法の世界恐慌時の結果ですが、普通にバリュー平均法をしていてもこの結果になります。だって想定年利を上回ったタイミングが一切なかったのですから、高値で売るってことができないわけです。
ここがバリュー平均法の難しい所ですね。想定年利を逐次見直さないと多額の投資資金になり過ぎます。追加投資しない=想定年利より低くなるので常に追加投資する環境になる、というのですからやっぱり金融リテラシー多めの人向け、もしくは、今後世界恐慌レベルの暴落は来ない!と、賭け事でバリュー投資を採用する人が勝利すると思います。もう賭け事だよここまで来たら。どっちにするかは。
ともあれ、どちらも部の良い賭けであるこは言えそうです。だってあの世界恐慌をモロにくらったとしても、30年後にはバリュー平均法を選択した人も1億円到達してるのですから。みんな違ってみんな良い。そう。SPXL等の3倍レバレッジならね!
※多分世界恐慌になったらSPXL無くなってると思うんですけど
ということで今回のまとめです。
- 追加投資額が中途半端なため、想定年利を常に下回ることが往々にして起こりうるためすぐに投資資金が枯渇する恐れがある
- 追加投資が1年に1回上限があるため、年々追加投資額が高くなり割高で購入する危険性が増える
- 今回の様に暴落開始時から始めることでドルコスト平均法よりも圧倒的にパフォーマンスは良くなることが多い。
- 但しITバブル崩壊+リーマンショックや世界恐慌等の10~20年物の暴落期間が続くようだとドルコスト平均法が最適解となる
こんな感じでしょうか。今から世界恐慌レベルが来ても、何となくですが、20年の低迷期まで行かずに10年とか短縮してくれる気はしてます。年々、スピードが速くなってる気がするので。そうなったらバリュー平均法も上限固定だとしても十分選択肢としてアリかなと思いました。
今回は、1回の上限を1万ドルとかなりの高い額で始めてみました。予想以上にあっという間に枯渇してしまったので、次回は、例えばドルコスト平均法の場合は100ドル/月で始めたので、想定年利以下の場合は200ドル/月の2倍投資する、とかの形で試すのは面白いかもしれません。これなら想定年利を超えたタイミングで投資はしなくなりますし、ドルコスト平均法よりも効率が良くなるかもしれません。が、今回の結果を観るに、想定年利を上回るのは相当苦労が必要そうなので、早々に投資資金が枯渇する未来が見えます。気が向いたら試す感じで。
というわけで、今回はここまでと致します。