こんにちは。okometsubuです。
今回、とある内容の検証依頼をお受けしました。以下がその内容となります。
「Fear & Greed index が50以上の場合はS&P 500等倍を購入、50以下の場合は2倍」といった投資方針で、割高時等倍、割安時レバレッジが実現できると想定しておりますが、実際どうなのかについてシミュレーションいただけないでしょうか(リバランスとは違う観点だと思います)
Fear & Greed indexというのがあるのですが、相場の過熱感を知る指標となっているもので、数値が低ければ低い程相場が悲観的である、と言うようなものです。高い程割高らしい。詳しくはグーグル先生まで。
で、この条件では難しいです。何故ならFear & Greed indexの過去データ、CSVファイル等の入手が出来ないためです。依頼者も代替案としてVIXを提示しておられましたので、今回は「VIX」の数値により積立額を変動する形で進めさせていただきます。
以下、似たようなことはやったことがあります。過去記事です。こちらは積立ではなく全額スイッチ検証です。
この条件だと「毎日積立」がベストだと思っています。VIXで積立をするならと言う話だからです。VIXは日々値が動いており、月1回だと十分な比較検証ができないということからです。
VIXは通常10~20で動き、それを超えるとやばくなってくるというのが基本的な考えの様です。Google先生でなんとなく調べました。
ということで、ザックリ条件を記載します。
今回やること
- VIX20以下になったらレバレッジ商品(SSO or SPXL)に積立投資する
- VIX20以上になったら^GSPC(S&P500)に積立投資する
- VIXの条件がヒットした翌日から積立先を変更する
- 手数料・税金は考慮しません。
SSOは2倍値動きのレバレッジでSPXLは3倍ですね。
やるのはこれだけ。毎日積立なのでやるとしたら投資信託ですね。そうなるとVIXが分かってからの投資となるため、2営業日後の発注となるため、実は若干のずれが生じます。これが投資信託の駄目な点です。が、今回は毎日積立であり、投資額も1日分は正直少ないです。ということで、一旦この条件で回してみることにします。
検証前の感想ですが、結局1倍:2倍での積立先の切り替えということですと、大体1.5倍レバレッジの積立結果から上下するだけというイメージを持っています。
何故なら今回はあくまで「積立投資」であり、今まで投資してきた分も蓄積されて投資人生の最後まで向かうことになります。よって、途中でVIXにより積立先を多少変動させても、結局今まで培った積立投資額はそのまま残っているため、最終的に平準化されて終わると言った具合です。
ともあれ、1倍に半分、2倍に半分を毎日積立するよりかは結果が良くなればいいと言う感じですね。それも結局、人生最後の日に右肩上がりしていれば結果が良くなるし、右肩下がりしているなら結果が悪くなる、という結論で終わる話だと思いました。
まま、これは私の所感なので、せっかくスクリプト作ったのでとりあえずみてみましょうか。
シミュレーション結果
1999-01-04~2020-07-02までの結果です
実際のVIX単体のグラフも併せて記載します。
後は対数グラフも載せます。
最終結果
- SSO_SP500:3.00倍
- SPXL_SP500:3.12倍
- SSOのみ:4.10倍
- SPXLのみ:4.70倍
- SP500のみ:2.21倍
- VIX判定:全体の4割の期間が20越え
最終結果の割合として、大体6.5割程がレバレッジ商品でSP500は3.5割程度の割合と言う結果になりました。
で、VIX判定が20を超えている期間が4割ということですので、S&P500を購入するのが4割、SPXLを購入するのが6割と言った具合でしょうか。当然ながら、売買時の株価によって買える枚数は異なりますので最終的にどうなるか判断が難しいですが。
図を見てもらえると分かる通り、VIXに従って積立をすると、暴落中はそこそこ被害を縮小することができますが、後半の右肩上がり時で普通にSSO単体やSPXL単体に負けることになります。
問題として、「SPXL_SP500」が「SSO」単体に負けています。これはつまり、「SPXLを高値」で買っていることになっている気がしました。何故ならSPXL:SP500は単純計算だと2倍の比率であり、SSOと同じレバ比率となります。
これは語弊はありますが、同じ額を買ってリバランスをした場合になるのですが、ともあれパワーとしては同じと解釈すると、SSO単体に普通に負けていることからVIXを用いた積立投資は失敗しているのではないかと解釈しました。
グラフを見て頂けると分かる通り、リーマンショック底の部分でも50歩100歩の成績です。その後の回復後は一瞬でSSOオンリーの線に抜かれていることから、やはり「SPXL:S&P500」をVIXで決め打ちでやるのはよろしくないと言うことになりそうです。
当然、1999年~2020年という区間で見た限りの事であり、違う区間で見ればまた違った形になると思いますが、とりあえず今回の結果としてはあまりよろしくない結果となったというわけです。
でもですよ?逆に考えると「VIX」が20以上、つまり非常に危険な状態で「SPXL」に投資をして、日々の安定している時の20未満の時に「S&P500」を買うというのは「アリ」と言うことになります。
何故そう思うかというと、今回のシミュレーションは「積立投資」であるのです。「VIX」が高い方が暴落する確率が高いと言うのであれば、暴落中の安い時期に「SPXL」を買うのがセオリーになるのではないでしょうか。
これは「VIX」のセオリーの考え方とは全く真逆の発想であり、「積立投資」という特殊な投資方法で初めて開花する考え方かもしれません。以下の過去記事では普通に「VIX」が20以上になったらS&P500にスイッチした方が非常に安定しました。
ともあれ、せっかくなので逆パターンも見て見ましょうか。積立投資の考え方を真逆にします。
- VIX20以下になったらレバレッジ商品(SSO or SPXL)に積立投資する
- VIX20以上になったら^GSPC(S&P500)に積立投資する
後は一緒です。対数グラフだけ載せます。
逆条件でのシミュレーション結果
1999-01-04~2020-07-02までの結果です
最終結果
- SSO_SP500:3.32倍
- SPXL_SP500:3.79倍
- SSOのみ:4.10倍
- SPXLのみ:4.70倍
- SP500のみ:2.21倍
- VIX判定:全体の4割の期間が20越え
先程よりもSSO_SP500とSPXL_SP500の結果が改善しました。
が、結局「SSOのみ」と「SPXL_SP500」の比較をしても、そう違いは無い、という所どまりで終わってしまいました。2002年とかのITバブル崩壊を超えた辺りを見ても同様ですね。
とはいえ、VIXの判定を逆転させることで結果が改善したと言う点は有益な情報となるかもしれません。一応「SSO_SP500」の積立バランスは悪く無くて、リーマンショック時でも下げは限定的です。
ともあれ、私の考えとしては、「積立投資」という投資方法において、「VIX」を使って積立先を変える手間を考えるとそこまでやらなくてもいいのかなと思ってしまうのでした。
結局シミュレーション前にお伝えした通り、積立投資は投資人生最後の頃にどうなっているかがポイントで右肩上がり相場だったらレバ比率を多く仕込める買い方ができるように買えば成績もいいと言う話でした。
今回、依頼主の方は「iFreeレバレッジ S&P500」を使われるとのことなので、それよりもリスクを抑えつつ積立投資をしたいというのであれば、「VIX」が20以上になったらむしろレバレッジ側を積み立てる、と言う考えで如何でしょうか、と言うお話でした。まぁ、運次第になることもあると思うので、「積立投資」と言う比較的安全度の高い投資方法という観点で言えばそこまで気にしなくてもいいかなぁと思った次第です。
つまり、最初から半々で「S&P500」と「レバレッジ」に積立投資をする、と言うのでも良い気はしています。もしくは、今回のコロナショックのような、直近高値から10%以上超えてから積立投資先の比率を変えつつ、毎日積立に変更する、とかの方が有益かもしれません。その暴落時期だけ比率を変えるとかでもいいかなぁと。暴落が進めば儲けものですし、暴落が終わっても「元の」比率に戻すのは容易です。積立投資の強みですね。
※2020/10/24 追記
「最初から半々」とオススメしておいて検証結果が無いのはフェアじゃないことに気づいたため、その結果もまとめました。以下その結果です。
最初から半々 VS 「VIX20以上でレバレッジ、未満でレバ無しを積み立てる」場合
最終結果
- SSO_SP500:3.32倍
- SSO_SP500半々固定:3.16倍
- SPXL_SP500:3.79倍
- SPXL_SP500半々固定:3.46倍
結果としては固定よりもVIXが高い時によりリスクが高い方を買った方が結果が良くなりました。但し、この結果はあくまで
となるものです。結局、積立投資というものは過去・現在・未来において
- 過去:大暴落中にレバ側を安く買えてうれしい
- 現在:大暴落が行われたら安く買うが、そんなに暴落すると未来がキツイ
- 未来:大暴落したらレバ側はキツイ
となるだけです。前半の赤色線は顕著にその傾向が現れていて、SPXLを大きく買っているので2002,3年頃は相当な下落を記録しています。が、ここで買い進められたため未来で大きな利益を得られたということだと思います。難しいですね。
というわけで、今回はここまでと致します。